全国加重平均で1000円を目指す!
「年率3%程度に最低賃金を上げる」という、働き方改革
の目玉計画は、どんな根拠で始まったのでしょうか。
全労連の最低生活費調査、というのがありますが、これは
安倍政権の掲げる目標ですから、当然経済理論をベースに
なっているはずです。
何故なら、最低賃金のアップと有給休暇の義務化、残業の
抑制はセットですが、これに見合った「生産性の向上」が
必達です。
そうでないと企業は持続的発展をしていけないからです。
例えば隣の韓国。最低賃金をなんと二けた台で2年続けて
引き上げたところ、失業率が上がり消費マインドが停滞し
「失敗」と言われています。
そんなこんなで、疑問に答える記事が東洋経済新報社から
出ていたので、ピックアップしてみました。
『大変革時代(ターニングポイント)の生存戦略』
(デービッド・アトキンソン著 東洋経済新報社)
日本が直面している「人口減少・高齢化」時代の対応戦略
を『日本人の勝算』として紹介。
GDPを上げるには「人為的に賃金を上げる」が必要と説く。
生産性向上を図りGDPを上げるために、政府が主導権を
とって、企業者に代わって強制的に賃金を上げる経済政策
という訳です。
そうすれば中小企業も否応なく生産性向上を果たさないと
生き残れない、といういわば「政府がケツをたたく」戦略
といえそう。
著書では
「質の悪い中小企業の経営者に代わり国が主導し賃金を上
げれば会社が否応なしに対応する」としています。
賃金引上げの成功例として挙げているのが英国。英国では
は2018年までの20年間に2.175倍最低賃金を引き上げ、
サービス業から改善し、国全体の生産性を向上させた実績
があります。
これらを柱として
1 高付加価値・高所得資本戦略
2 輸出小国から脱却する戦略
を提唱しています。
1 高付加価値・高所得資本戦略
~「人為的に賃金を上げて生産性を伸ばす経済モデル」~
1) 「いいものを安く」 から「いいものを高く」の戦略
2) 「価格競争で値下げ」から「専門性の高い品質競争」
3) 「管理する会社」から「フラットな会社組織」へ
4) 「一般社員の給与アップ」を政府の政策で行う
(最低賃金引上げ政策)により生産性が向上、GDPがアップ
* GDPは「経済成長=人口×一人当たりGDP」
* 経営者の戦略で生産性向上、GDPを上げるのが過去戦略
【企業規模を拡大せよ】
* 小規模企業が多いと生産性は低い(相関係数は極めて高い)
【最低賃金を引き上げよ】
* 生産性を上げるよう意図的に転換していく
* トラック輸送の運賃上昇の(例)
これに伴い、工場出荷の日用消耗品の段ボール輸送などでも、
積載率や支払総額の判断がより配送効率を考えて合理的になり、
より良い車両の組み合わせを選ぶようになる。 結果、生産性
の向上につながっている。
2 輸出小国から脱却する戦略
日本は今、人口減少が続き、購買力の低下、国内市場が縮小し
生産設備余剰・供給過剰の状態にある。
日本はよく「輸出大国」と言われていたが、実際は「輸出小国」
(輸出総額世界第4位、一人当たり輸出額44位、GDP比117位)
よって、勝算としては、輸出を増やす必要がある。
「中小企業の輸出したいという意欲を引き出す」ことが肝要で
この意欲が強ければ、当然のごとく生産性の向上に結び付く。
【資料】
日本の貿易依存度は低い。 内需が大きい経済
順位 186位/207国 輸出入額はGDP比で27%
〇日本は貿易立国ではない
〇国内需要は成長していない
〇今後は海外にも期待
①内外価格差が減少
安いもの輸入して内需で稼ぐ時代は終わり
→「国産品を高く外で売る」「日本で作って日本で売る」
②グローバリズムは時代遅れ、貧富の拡大助長
→TPPで貿易拡大する必要はない