平成29年度「過労死等防止対策白書」(厚生労働省)の重点業種とは

「過労死等防止対策白書」

2016年(平成28年)厚生労働省が初めて白書を出しました。

電通の女性社員の問題がクローズアップされてから、「過労死等」の防止対策は「働き方改革」とあわせて、極めて看過できない企業の課題となっています。



平成29年度版では
「過労死等が多く発生しているとの指摘がある重点業種・・・」
と題して、次の2業種・職種をあげています。

1自動車運転従事者
2外食産業

では「過労死」とはどんな病なのか
主たる決定時の疾患別では次のようになっています。

(脳疾患)
  >脳内出血
  >くも膜下出血
  >脳梗塞
(心臓疾患)
  >心筋梗塞
  >心停止
  >解離性動脈瘤

しかし、それ以外にも注意を要する職種があり、油断出来ません。

以下にまとめてみましたのでご参考まで

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1自働車運転従事者
業種では(運輸業、郵便業)で、特に道路貨物運送業(ドライバ―)が「過労死」として労災認定のワースト1となっています。

問題なのは「脳・心臓疾患」で
トラック運転者では、深夜・早朝・長時間勤務が原因と見ています。
さらに、時期は1月~3月の厳寒期と7月~9月の猛暑期に集中している実態が明らかになっています。

なんと、走行中に発症する例が多いのが特徴とのことで、心配ですね。

タクシー・バス運転手では、長時間労働と対人業務で精神的緊張が原因で疾患が多いとの分析でした。

2外食産業
「宿泊業、飲食サービス業」の少人数職場で、とりわけ現場責任者は
拘束時間が長く、休日が少なくなっています。 これらが
「過労死等の原因」に少なからず影響があると見られています。

特に、店長やスーパーバイザーは「人手不足」のため、突発業務が発生しがちで時間的な不規則長時間労働とストレスが体調に影響しているとしています。

「売上げや収益悪化」の懸念から、「人的対策をとらない」状況が慢性化しているのが実情で根っこはかなり深いようです。

3その他(注意を要する調査結果)

データから読み取れる、そのほかの要注意事象をチェックしてみると、

     ☞「脳・心臓疾患」は40代~50代が多く、特に50代で多発している
     ☞発生件数では①運輸業・郵便業 ②卸売業・小売業 ③製造業 ④建設業 ⑤サービス業の順で多い
     ☞発生確率では、①漁業 ②運輸業・郵便業 が突出して多い
     ☞男女別では大半が男性となっており、女性は極めて少ない

などなど

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他にも興味深いデータが載せられています。

50代の男性が要注意、ということですが、今後女性管理者等の増加など、女性の社会進出が進めば、この地図も変わってくるのではないでしょうか。

4労災認定について

最終的に、業務が原因で、明かに過重負荷として認められた要因(労災認定要因)では、

〇全体の93%が「長期間の過重業務」
〇労働時間以外の負荷要因としては、
 1位)32% ・・・ 拘束時間の長い勤務
 2位)15% ・・・ 交代・深夜勤務
 3位)14% ・・・ 不規則勤務

となっています。

長時間の過重業務の代表例としては、
例えば、待ち時間の長い貨物自動車運転従事者や長時間緊張の続く手術外科医、昼夜休みの取れないコンビニ店長、さらには、天候や漁場に左右され、かつ小さな漁船という閉鎖空間で長時間過ごす漁師など、さまざまの分野で日本経済や生活を支えている人達です。

また、労働時間以外の負荷要因で。特筆すべきものは
 >仕事の内容・量に大きな変化
 >ひどい嫌がらせ、暴行を受けた
 >悲惨な事故や災害の体験・目撃をした
 >重度の病気やケガをした
などの経験をへて「心理的負荷が極度」に高まったことでの心疾患も軽視できないようです。

特に自殺などは若年で多発しており、深刻な問題として、本腰を入れた対応策が急務なのではないでしょうか。

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